コラム

新型コロナウイルス感染症の予防に効くとされたことから、いろいろな施設でも利用されてきた次亜塩素酸水について、疑問や不安の声があがっています。公的にはどう評価されているのか、どのように理解して利用すればいいのか、情報をまとめてみました。

効くの? 効かないの? 噴霧は危険?

新型コロナウイルス感染症の広がりを防ぐために、店舗や学校などの施設ではこれまで、さまざまな対策が講じられてきました。ただ、人類が初めて出会ったウイルスだけに、「なにが効くのか?」手探りしながら見つけ出していくしかありません。

そんな中、効果があるとされてきたものの一つがもともと、食品加工等の現場で用いられてきた次亜塩素酸水です。一定の効果や安全性がすでに周知されており、使いやすいことから、多くの施設や家庭で使われるようになりました。

ところがそんな次亜塩素酸水について、「効果は立証されていない」「使い方によっては危険性がある」といった情報が流れ始めたことから、さまざまな現場で急遽、他の消毒方法を模索するなど、混乱が生じています。

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは違う?

そもそも、次亜塩素酸水とはなんなのでしょう? Wikipediaでは下記のように紹介されています。

2002年食品添加物(殺菌料)に指定された(2012年改訂)、10~80ppmの有効塩素濃度を持つ酸性電解水に付けられた名称である。

要するに、酸性の電解水のうち、一定濃度以上の塩素濃度があるものをそう呼んでいるのです。

ちなみに、よく、混同されるものに次亜塩素酸ナトリウムがあります。こちらは「ハイター」などの商品名で知られる塩素系の漂白剤であり、名前が似ているので紛らわしいのですが、まったくの別物です。

以下、わかりやすいように、表にしてみました。

気になる安全性、新型コロナウイルスへの効果は?

新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の効果は判断が難しいところです。今回、次亜塩素酸水に対する疑念が噴出したのは独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)の発表がきっかけです。

次亜塩素酸水について、同法人が「効果を検証中である」とする中間報告を行ったため、「効くかどうかわからないの?」ととらえる人が多く、利用者からいっせいに不安の声が上がりました。

ただし、同法人のサイトには「※塩素濃度49ppm(pH5.0)で、20秒で感染力を1000分の1まで減少させた例がありました」という記載もあります。

これは北海道大学が行った発表を指しているものと思われます。同大学が行った実験では、次亜塩素酸水(PH5.5、40ppm)により、新型コロナウイルスが不活性化されたと報告されており、少なくとも実験と同じ環境であれば、有効である、と考えてよさそうです。

niteのHPでは空中噴霧については「評価の対象にしていない」と説明しており、どういった使い方ならどの程度効果があるのか、は今後さらにいろいろな研究がなされた後に確定する、と考えるのが正しいでしょう。

「効きそう」なものはどう利用する?

新型コロナウイルスについてはまだまだわからないことだらけなので、効果があるとわかっていることだけで対策を賄うのは容易ではありません。

消毒薬としてはアルコールや次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤の効果はすでに実証されていますが、それらについても確実に有効だと言える濃度や種類、使い方は限定されています。

また、消毒用アルコールのように、需要が急増したことから、入手が難しくなったものもあります。効果が期待できる次亜塩素酸水をそういったアイテムの代わりに利用できれば、便利であることは確かです。

利用する際にカギとなるポイントは2点あります。

①複数のアイテムを組み合わせる

効果が実証されている薬剤も、実際に利用する場合にはさまざまな条件により、効果は異なります。ウイルスの量や消毒液の量、消毒するものの材質、汚れ具合などが違えば、効き目も違うので、いくつかの手段を組み合わせることで、より、確実性が高まります。次亜塩素酸水についても、そういった組み合わせの中で利用すれば、効果が出にくいシーンであっても、「消毒漏らし」を抑えることができるはずです。

②安全性が確認できる商品だけを利用する

次亜塩素酸水についてはメーカーサイトでも注意喚起されている通り、製品の品質にかなりのバラつきがあります。「ph表記がある」など、信頼できる製品の見分け方が紹介されているので、そういった情報を頼りに、安全性が確認できる製品を選ぶことが大切です。

新型コロナウイルスの「新型」とは未知のものであることを示す言葉です。予防や治療に効くかもしれない、と思えるものが本当に有効かどうかがわかるまでにはどうしても時間がかかります。

その間、「効くかもしれない」アイテムとどう付き合うのか――それぞれの人が自己責任で知識を集め、冷静かつ合理的に判断をすることが求められているのです。

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