コラム

水素ガスの吸入には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を抑える効果があるようです。

7月に中国の研究者が発表した論文では、呼吸困難を起こした患者に水素ガスを吸入させたところ、非常に迅速に効果が現れたことが報告されています。

■わかってきたCOVID-19の正体

COVID-19の病原体であるSARS-CoV-2が最初に検出されたのは公式には2019年12月とされています。その後、ウイルスは瞬く間に世界中に広がり、2020年8月28日の時点で、全世界の感染者数は2460万人、死亡者数は83.5万人と報告されています。

一部には「風邪やインフルエンザと同じ」と語る人もいますが、重症化率や死亡率の高さを見ると、高齢者や基礎疾患がある人のリスクは非常に高く、危険な感染症というのが一般的な認識です。

感染の広がりを抑え、効果的な予防法や治療法を開発するため、世界中で急ピッチで研究が進められてきた結果、最近では多くのことがわかってきました。

その一つに「重症化するプロセスの特異性」があります。COVID-19はウイルスそのものが人の細胞を破壊することで重症化するのではなく、人の免疫系に「サイトカインストーム」と呼ばれる暴走を促すことで、血管や臓器に深刻なダメージを与えます。

その結果、ひどくなると死にいたりますし、回復しても後遺症をもたらすことが少なくないのです。

■水素の健康効果には重症化の予防が期待できる

恐ろしい病気だと認識されているCOVID-19ですが、SARS-CoV-2に感染した人のうち、重症化する人はごく一部です。厚生労働省のHPでは感染が確認された人のうちわけは軽症が80%、重症14%、重篤6%と紹介されています。

重症化しなければ、COVID-19は特に恐ろしい病気ではありません。ですから、COVID-19の治療では、いかに重症化を防ぐか、重症化した場合にはいかにして、早くに症状を改善するか、というのがいちばんのカギになります。

抗ウイルス薬やステロイド、免疫抑制剤など、さまざまな薬剤を使う治療が試されていますが、水素ガスの吸入にも、「COVID-19感染症の症状を抑える効果があるのでは?」と考えることができます。

たとえば、suisoniaについては炎症の抑制、免疫の調節、血管内皮細胞の改善、といった効果がすでに実験で立証されています。

さらに、COVID-19の重症化に密接なつながりがある糖尿病についても、suisoniaが持つ抗糖化のはたらきが、症状の緩和に役立つと考えられています。

免疫暴走の抑制や基礎疾患の改善といった効果が期待できることから、suisoniaにはCOVID-19の重症化を軽減する作用が期待できるのです。

■水素の重症度改善効果を中国の研究者が論文発表

実際に、COVID-19患者に水素ガスを吸入させたらどうなるのか――中国ではすでに臨床実験が行われ、その結果が7月に発表されています。

武漢市を中心とする複数の医療機関で、呼吸困難状態に陥っているCOVID-19患者を水素と酸素の混合ガスを吸入させるグループと普通の空気を吸入させるグループに分けて、治療効果を比較する実験が行われたのです。

Journal of Thoracic Disease 2020年6月号に掲載されている実験の結果を見ると、水素ガスを吸入したグループでは、非常に早くから症状が緩和されていることがよくわかります。

【実験の概要】

○中国国内の7つの病院でCOVID-19と診断された患者を選択。

○呼吸困難症状を起こしている患者90人のうち44人を水素ガスと酸素を吸入するグループ、46人を酸素だけ吸入するグループに分ける。

○水素吸入グループにはH2-O2(66%水素;33%酸素)を6 L/分の速度で鼻カニューレから吸入する治療を行う。

○それぞれのグループについて、呼吸困難や咳、胸内苦悶、胸部痛、血中酸素飽和度などを測定し、重症度の改善度合いを評価。

【実験の結果】

水素吸入グループでは酸素だけのグループとは明らかに異なる重症度合いの改善が見られた。

http://jtd.amegroups.com/article/view/40994/html

①重症度の改善

②呼吸困難の改善

③咳の改善

④胸内苦悶(胸部の圧迫感や締め付けられるような感じ)改善

⑤胸部痛改善

⑥血中酸素飽和度改善

注目されるのは2、3日で多くの効果が改善されていることです。特に胸部痛の改善度合いは大きく、5つの要素を総合的に評価した指数でも、酸素だけを吸入したグループに比べて、大きな改善効果が現れています。

■中国ではすでに標準治療の一環に水素吸入

もともと中国では、大気汚染の影響が深刻化していることもあり、水素ガス吸入の効果について、これまでも臨床試験が行われてきました。

今回、COVID-19の流行を受けて、3月には水素吸入を標準治療の一環とする通達が出されました。

「中華人民共和国国家衛生健康委員会弁公庁 中国国家中医薬管理局弁公室」が発表したこの通達では、「条件が合えば酸素と水素の混合吸入治療を行う」とされており、すでに多くの病院で、COVID-19感染患者に対する水素吸入治療が提供されています。

■まとめ

COVID-19については、かなり早くから「水素が効くのでは?」という声が専門家の間で上がっていました。国内では、臨床的な実験が難しいこともあり、検証が進んでいませんでしたが、中国をはじめとする海外では、少しずつその効果が立証されつつあるようです。

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