野菜や豆腐ですい臓がんに? 健康のために食べるべきものとは?

Medical Life Science Laboratory

野菜や豆腐と聞くと、健康にいい食べ物の代表格のように感じる人が多いのではないでしょうか? ところが、そんな野菜や豆腐を多く食べると、すい臓がんのリスクが高くなる、という研究報告があります。

さまざまな情報が飛び交う中、健康を維持するためには、なにをどんな風に食べればいいのでしょう?

■豆腐や豆乳、油揚げですい臓がんのリスク増

日本人にとって大豆はとても身近な食品です。煮豆等にしてそのまま食べるのはもちろん、豆腐や豆乳、油揚げ、高野豆腐、納豆、味噌、しょう油など、大豆は日本の食卓に欠かせない食材の原材料でもあります。

そんな大豆について、すい臓がんのリスクを高める疑いがある、という研究結果が2020年6月に発表されました。研究を行ったのは国立がん研究センターの予防研究グループです。

この研究では約9万人の対象者を中央値16.9年にわたって追跡調査して、生活習慣とがんの関係を調べています。大豆食品については普段食べる量で対象者を4段階に分けて、すい臓がんの発症リスクとの関係を調査しました。

その結果、大豆食品を食べる量がもっとも少ないグループともっとも多いグループを比べたところ、多いグループの人がすい臓がんになるリスクは1.48倍も高いことがわかったのです。

がんに関係するその他の因子(年齢、性別、地域、肥満度、喫煙・飲酒・身体活動習慣、糖尿病の有無、すい臓がんの家族歴、コーヒー・魚類・肉類・果物類・野菜類の摂取習慣、総エネルギー摂取量)については、統計的な調整が行われているので、影響は排除できている、と考えられます。

ちなみに、この研究ですい臓がんのリスクに関係していることがわかったのは非発酵性の大豆食品でした。

大豆を原材料とする食品には大きく分けて豆腐や豆乳など非発酵性のものと、納豆や味噌など発酵性のものがありますが、発酵性の食品についてはすい臓がんのリスクを押し上げる作用は見られていません。

■野菜をたくさん食べる人もすい臓がんに?

実は同じ調査で、野菜を食べる量とすい臓がんについても、2018年に驚きの結果が報告されています。

大豆の研究と同じく、野菜の摂取量とすい臓がんの発症リスクを比較してみたところ、野菜を食べる量がもっとも少ないグループに比べ、もっとも多いグループでは発症リスクが1.3倍高かったのです。

ちなみに、この影響の発現するのは喫煙者のみでした。つまり、たばこを吸う人が野菜を多く食べると、かえってすい臓がんのリスクが高まる、という結果がこの調査では現れたのです。

■コホート調査の目的と考察

二つの研究発表はいずれも同じコホート調査に基づいています。コホート調査というのは、特定の集団について健康上の変化を追跡調査することで、生活習慣などが健康に与える影響を調べるやり方のことです。

予防研究グループが行ったコホート調査は1990年代後半~2013年まで、全国に住む9万人を対象に行われました。

その結果、「健康にいい」というイメージが強い大豆食品や野菜をたくさん食べる人ほどすい臓がんになりやすい、という統計が見られたのです。

ただし、この研究報告を見て、「大豆や野菜を食べるとすい臓がんになりやすい」と判断するのは早計です。コホート調査はあくまで「統計を取ったら特定の偏りが見られた」という結果に過ぎません。

大豆食品や野菜を多く食べるとなぜすい臓がんのリスクが高くなるのか、という機序についてはわかっていないので、コホート調査の結果だけで、決めつけることはロジカルな考え方ではありません。

■健康でありたい人はなにを食べればいいのか?

それでは、こういった研究の結果はどのように取り入れればよいのでしょう? コホート調査で示されているのは「大豆食品や野菜を多く摂るとすい臓がんの発症リスクが高くなるかもしれない」という事実です。

したがって、「健康にいいから」とだけ考えて毎日大量に食べるのはとりあえず避けた方が安全です。とはいえ、まったく食べないのがいい、とは言えません。大豆食品は乳がんの抑制に有効、という研究結果があります。

また、同じく予防研究グループが行っているコホート調査では血液中のカロテノイド濃度が高いほど胃がんの発症リスクが低くなる、という結果が報告されています。カロテノイドは緑黄色野菜などに多く含まれる栄養成分なので、野菜を控えれば胃がんのリスクが高くなる、と考えられます。

そうやって、さまざまな調査結果を並べていくと、たいていの場合、導き出されるのは平凡な結論です。

いろいろな食品を偏りなく適切な量だけ食べるのがいい――簡単に言えば、健康を維持しやすい食のあり方はこの一言に集約できそうです。

■まとめ

健康は多くの人にとって最大の関心事です。そのため、いろいろな研究が今も行われ続けており、中にはこれまでの常識に反する結果が発表されることもあります。

そんな情報に触れたときには、ソースが異なるさまざまな情報に照らしながら、暮らしにどう取り入れるのか、自身で冷静に判断することが大切です。

 

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