コラム

水素を作る方法はいくつかあります。試しにAmazonで「水素」という用語を入れて検索してみると、1万件以上のヒットがありました。中には書籍なども含まれていますが大半は健康のために水素を摂取するアイテムです。

価格にも大差があり、もっとも高額のものは160万円以上、もっとも安価と思われるものは「水素が出る」とうたう価格数百円の入浴剤でした。

では、それらはいったいどう違うのでしょう? 水素に関心を持つ人の間でも、実はあまり理解されていないポイントだと思うので、少し掘り下げて解説してみたいと思います。

炭火で沸かしたお湯は口当たりが優しく健康にいい?

たとえば、水を熱する場合、炭火で熱しても電子レンジで熱してもできるお湯に違いはありません。「炭火で沸かしたから味がまろやかで健康にいい」……そう言われると、そんな気がしてきますが、科学的に分析すれば、ガスレンジで沸かしたものも電子レンジで沸かしたものもまったく同じです。

同様に、水素についても作り方による違いはない、と考えている人が少なくありません。水素というのは元素の名前です。あるものを化学的に分解していって最後に残る物質の単位が元素であり、いわばもっとも純粋な物質です。

一方、水はH2Oという化学式で表される通り、水素(H)と酸素(O)が結びついてできている物質です。冷やすと氷になり、熱すると水蒸気になりますが、状態が変わってもH2Oであることは変わりません。

沸騰している水は化学的には「熱くなったH2O」です。炭火で熱しても電子レンジで熱してもこの事実は同じです。もちろん、味が違ったり、片方が健康によかったりということもありません。

だったら、水素(H)もそうなのでは? と考えるのが自然に思えます。でも、違うのです。水素は作られ方によって、状態が違い、性質がまったく違うことがわかっています。

水素を作る方法は主に3つある

先ほどから、「水素を作る」と書いてきましたが、正確には人の力で水素を作り出すことはできません。「他の物質と結びついている水素を取り出して、利用しやすい状態にしている」というのが正解です。

もっとも多いのは水から取り出すやり方です。H2OをHとOに分けて、Hだけを利用するのです。

では、どうやって分解するのか? そのやり方は主に3つあります。

①電気分解方式

水の中に混じっている「電離している水素」を集めるやり方です。水は水素と酸素が結びついてできているH2Oという化合物ですが、その中には結びついていない(電離している)水素イオンと水酸化物イオンが混じっています。

それぞれ、水素イオンはプラスの電荷、水酸化物イオンはマイナスの電荷を帯びているので、水に電極を入れると、水素イオンは陰極に水酸化物イオンは陽極に集まります。

ほとんどの方が、中学生の時に理科の実験で経験していると思います。自宅で試してみたい方は、簡単なやり方がYouTubeで紹介されているので、真似してみるのがおすすめです。

このやり方を見てわかる通り、必要なのはシャープペンシルの芯と消しゴム、電池、それにポットなどの洗浄用としてホームセンターなどで売られているクエン酸だけ。合計数百円程度の出費で、ちゃんと水素を発生させることができます。

水素ガス吸入器や水素風呂の多くはこの方式を採用しており、高額の装置も水素ガスを発生させる原理はこの実験と同じです。

②化学反応方式

化学的な反応を使って水素を発生させるやり方です。原理は非常に単純で、水素化カルシウムなど、水素を含む化合物と水などを反応させることで水素を産出します。

「水素サプリメント」として販売されている商品の大半はこのやり方を採用しています。体内で水素ガスが発生することには一定の利点があるかもしれませんが、そのためには化合物を飲んだり食べたりしなければなりません。

食品として体内に取り入れた場合の問題については、詳しく研究がなされていないという問題は意識すべきリスクでしょう。カルシウムなので健康リスクはない、という声もありますが、女性がカルシウムサプリメントを摂取した場合には、死亡率が2.6倍高くなる、という研究論文もあります。(「Long term calcium intake and rates of all cause and cardiovascular mortality: community based prospective longitudinal cohort study」BMJ 2013)

単発の利用であれば、心配する必要はないと思われますが、健康を意識して継続的に利用する場合には、心配すべきリスクと言えます。

また、国内では、食品として扱われているサプリメントについて、安全性を厳格に審査し、規制する仕組みはありません。そのため、「水素サプリを服用した際、口内に火傷を負った」などの報告もあり、懸念されるところです。

水素化カルシウムは水と接すると激しく反応します。口内の唾液と反応して、高い熱を発するケースは十分考えられるので、通常は濃度を調整して商品化しているはずですが、製品の品質が一定に保たれていなければ、大きな健康被害が発生することもあり得ます。

③過熱還元方式

水を熱することで還元し、水素を生み出すやり方です。少し説明がややこしくなるのですが、水に熱を加えると水蒸気になるのは、みなさんご存じの通りです。

では、その水蒸気をさらに熱するとどうなるのか? 実は水素と酸素の結びつきが弱まっていくのです。最終的に数千度という非常に高い温度になると、水素と酸素に分離しはじめます。

そこまで過熱するのはたいへんなので、suisoniaは高熱の水蒸気を特殊な還元作用のあるカートリッジに導入することで、酸素を除去して水素だけを取り出すことに成功しています。

世界でもsuisoniaだけが採用している水素の産生方法です。他のメーカーが追随しないのは、技術的に非常に難しいためです。数百度に熱した蒸気を人が安全に吸入できるよう管理し、さらには繰り返しそれだけの高熱を発しても性能が保たれる堅牢性を確保しなければなりません。

電気分解方式や化学反応方式に比べ、機器の製造が非常に難しいことは容易に理解できると思います。

「還元力」で実証されている水素の違い

ここまで、水素を発生させる方法の違いを解説してきましたが、健康効果を期待して摂取する人にとって、気になるのは方式により発生する水素に違いはあるのか、ということでしょう。

前述した「炭火で沸かしたお湯と電子レンジで沸かしたお湯に違いはあるのか?」というのと同じ疑問です。温め方でお湯に化学的な違いはありませんが、実は水素には発生の方式により性質に違いがあります。

過熱還元方式により発生する水素は他の方式に比べて、段違いに還元力が強いのです。

還元力というのは「酸化したものをもとに戻す力」です。物質が酸素と結びつくことを酸化といいます。わかりやすい例をあげると、新しい10円硬貨が銅色に輝いているのに対して、古い10円硬貨は黒ずんでくすんでいます。これは硬貨の材料である銅が酸素と結びついてさびてしまったせいです。

さびてしまった10円硬貨は通常、もとには戻りません。でも、水素と反応させることができれば、もとの銅色に戻すことが可能です。多くの人はこの実験も中学校で経験しているはずです。このさびたものをもとに戻すはたらきを還元と呼びます。

ちなみに、酸化は10円硬貨だけでなく、ほとんどあらゆる物質について起きます。人の身体も例外ではありません。それどころか、詳しくは別の機会に解説しますが、「病気の9割は細胞がさびることで発症する」ともいわれています。

したがって、水素がもたらす健康効果の中でも、さびた細胞を還元したり細胞がさびるのを防いだりするはたらきは非常に大きな割合を占めると考えられています。

過熱還元方式により発生する水素はこの還元力が格段に強いのです。そのことからわかるのはお湯と違い水素には発生方式による違いがある、ということです。過熱還元方式により発生する水素と他の水素は化学的にまったく異なるものなのです。

還元力の差は原子と分子の違いから生まれる

それでは、過熱還元方式の水素と他の水素は具体的にどう違うのでしょう? 

残念ながら、この問いに対する答えは難しく、まだ仮説しかありません。「還元力が違う」という結果はあるので、「じゃあ、何が違うと還元力に違いが出るのだろうか?」と化学の専門家が考えた結果、1つの仮説が有力視されています。

還元力の差を生み出しているのは「水素原子」か「水素分子」かの違いではないか。

水素原子は陽子1つ、電子1つで構成されるこの宇宙でいちばん小さな物質です。ただし、他の物質と接しやすい場所ではなかなか原子の状態では存在し続けられません。他の物質と結びつこうとする性質が非常に強いからです。

酸素(O)があれば、結びついて水(H2O)になります。酸化した物質に結合している酸素と結びつく力=還元力がとても強いのです。

結びつく相手は同じ水素原子であってもかまいません。それどころか、お互いが結びつきたがっている物質なので、一定の距離以下に近づくと、あっという間にくっついてしまう性質があります。

水素原子が2つで1つのペアになったものを水素分子と呼びます。水素分子は水素原子と違い、安定性が高い物質なので、他の物質とはあまり反応しません。つまり、還元力がそれほど強くはないのです。

過熱還元方式により発生する水素だけが原子の状態を少し長く保てるのはなぜなのか? まだ、それもわかってはいません。ただ、化学の専門家はそれについてもいくつかの仮説を立てています。

「含まれている水蒸気が原子の状態を保つようはたらきかけている」

「濃度が低く抑えられているので、水素原子同士が接触しにくく、結合する割合が小さい」

いずれも研究を重ねる中で、まだこれから証明されるべき仮説であり、 過熱還元方式だけが持つ強い還元力という特徴が生まれる原因はまだ不明です。

まとめ

・水素を発生させる方式は主に3つある。

・方式により、発生する水素の性質は大きく異なる。

・過熱還元方式により発生する水素には還元力が強いという特徴がある。

・水素の健康効果はいくつかあるが、酸化を防ぐ還元が大きな割合を占める。

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