韓国で死亡報告多数! インフルエンザワクチンは打つべきか打たざるべきか

Medical Life Science Laboratory

コロナ禍の中、インフルエンザのシーズンがもうすぐ到来します。予防措置としてワクチン接種が始まっていますが、インフルエンザワクチンを接種した人が韓国で立て続けに死亡した、というニュースが飛び込んできました。

そういった事情も踏まえ、インフルエンザワクチンを接種すべきかどうか、検証してみたいと思います。

■インフルエンザワクチンのリスクは宝くじ程度

まず、大前提として理解しておく必要があるのは「ほとんどの医療行為には一定のリスクがつきまとう」ということです。手術はもちろん、薬の投与やワクチンの接種といった医療行為には人の命を救ったり健康状態を改善したりする効果がありますが、その反面、ごく一部の人には害をもたらすことがあるのです。

インフルエンザワクチンについても、そのリスクはきちんと報告されています。たとえば、2016年シーズンにインフルエンザワクチンを接種した人のうち重篤な副作用があったと報告されているケースは医療機関からのものが86件、製造販売業者からのものが77件ありました。

うち、医療機関からの報告では6人が、製造販売会社からの報告では4人が死亡しています。同シーズンに接種された回数は5000万回程度です。単純に1人が2回接種したとすると2500万人程度が接種を受けたことになりますから、重篤な副作用が出たり死亡したりする確率は宝くじに当たるのと同じくらいか、それ以下だと言えます。

■韓国で死亡例が相次いでいるのはなぜなのか?

今回、韓国ではインフルエンザワクチンを接種した17歳の高校生が10月19日に死亡した後、23日までの4日間に同様の死亡例が36件も報告されています。

先ほどの日本の数字は1シーズンを通しての数字です。韓国の人口は日本の半分程度であり、インフルエンザの副作用が疑われるケースがたった4日間で見つかる数としては、異例の多さである、と言えます。

同国内の被害拡大が心配されますが、日本で同様の問題が起きるリスクについても、不安視する声が高まっています。原因の特定については韓国で行われている調査の結果発表を待つ必要があります。

ただ、同国ではこれまで、一時常温で放置されていたワクチンやアンプル内に「白い粒子」が見つかったワクチンの存在が報告されています。

また、死亡した人の複数人が「同一の施設で作られたワクチン」を使用したという調査結果が出てきたため、ワクチンの品質に問題があったのではないか、とも疑われます。

■日本のワクチンは安全? 例年に比べると不安要素も

国内でワクチン接種を検討している人にとって気になるのは、「日本のワクチンは安全かどうか」ということでしょう。2020~2021年は世界中でインフルエンザワクチンが足りなくなる、と言われており、各国が争奪戦を繰り広げている状況です。

韓国も1900万人分を確保する、という政府方針を実現するため、国内産に加えて輸入の拡大に努めているので、日本を含め海外向けに輸出することはない、と考えられます。

したがって、仮に韓国内において、ワクチンの品質により死亡者が発生しているとしても、問題のあるワクチンが日本国内に入ってくることはまずない、と言えるでしょう。

ただ、今期はさまざまな国からの輸入を模索しているため、例年に比べ、安全性を確保しにくい状況であることは確かです。

■有効率50%? ワクチン接種がもたらすメリット

インフルエンザワクチンにはもちろん、メリットもあります。厚生労働省では「感染する確率を低下させる」ことと「重症化する確率を低下させる」ことが主なメリットとしています。

同省のHPで紹介されている研究報告によると、6歳未満の小児を対象として、5シーズンに渡って行われた研究では、感染する確率は50%程度抑えられたと言います。

感染率に対する効果○%というのは誤解されやすい説明なので、あらためて解説しておきます。これは接種しない人が感染する割合に対して、接種した人の感染割合がどれだけ減るかを示す数字です。

たとえば、インフルエンザワクチンを接種しない100人を1シーズンにわたって追跡調査したところ、30人がインフルエンザに感染したとします。一方、接種した100人を同じように追跡調査した結果、感染者が15人に抑えられた場合、有効率は50%となります。

この例では接種しない場合の感染リスクを30%に設定しましたが、仕事や生活スタイルにより感染リスクは異なります。満員電車で長時間かけて通勤・通学する人や不特定多数の人と密に接する仕事の人は感染リスクが高め。

在宅で仕事をする人など、他人と接する機会が少ない人はリスクが低いはずです。リスクが高い人にとっては感染率が下がるメリットが大きく、リスクが低い人にとってメリットは小さいと言えるでしょう。

重症化リスクについては、高齢者福祉施設に入所している65歳以上の人を対象にした研究において、82%の死亡防止効果が見られたと報告されています。

http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0760010009.pdf

その報告からもわかる通り、高齢者など、重症化しやすい人にとっては接種のメリットが大きいと考えられます。

■メリットとデメリットを秤にかけて判断する

メリットとデメリットがある事柄を判断する時にはそれぞれの大きさを比べる必要があります。インフルエンザワクチンについてはここまで解説してきたように、ワクチンの副作用というリスクと感染や重症化を抑えられる、というメリットを比較して決めるべきです。

副作用についてはアレルギー体質の人をのぞけば、個人差は小さいと考えられます。一方、ワクチン接種のメリットには大きな個人差があります。

感染する確率が非常に高い人に加え、乳児や幼児、高齢者、慢性呼吸器疾患や慢性心疾患、糖尿病、腎機能障害、ステロイド剤を使用している人などのハイリスク群にとっては重症化を抑える効果は大きなメリットです。

そのため、ハイリスク群については副作用のリスクがあっても、接種した方がいい、というのが一般的な考え方であり、欧米ではインフルエンザワクチンの接種をそういった層に限っているケースが少なくありません。

■まとめ

ワクチン接種については「危険!」「あまり意味がない!」などとする声がある一方、「全員が受けるべき!」と言う人もいて、各論が飛び交っている状況です。

ただ、リスクや効果は人それぞれ異なるので、極端な意見は参考にとどめて、自分なりの判断をする必要があります。

なお、インフルエンザ感染について、今期は新型コロナウイルス感染症との混同、という今までにないリスクもあります。発熱すると適切な医療を受けにくくなることも考えられるので、リスクの大きさを測る際には、そういった問題も考慮する必要がありそうです。

 

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