コラム

「健康にいい食品」と言われて、真っ先にヨーグルトを思いつく人は多いと思います。実際に世界中で愛用されており、長寿国とされる国では何世紀も前から食卓にのせられてきたことがわかっています。

今回はそんなヨーグルトの健康効果や食べ方について解説します。

■世界で広く利用されてきたヨーグルト

ヨーグルトは乳汁を乳酸菌により発酵させた食品の一つです。スーパーなどで販売されているものの大半は牛乳から作られていますが、他にもヤギやヒツジ、水牛、馬などさまざまな動物の乳汁を用いたヨーグルトが世界には存在します。

ヨーグルトの歴史はとても古く、紀元前5000~3000年ごろから食されてきた、と考えられます。もともと乳製品を多く利用する欧米では消費量が多く、ドイツやスイスなどでは年間30L/人程度。

一方、日本の消費量は10L程度なので、世界的に見るとかなり少なめです。

■腸内フローラを整えて多方面から健康増進

人の腸には多様な細菌が大量に棲息しています。その数は100兆個とも言われており、その性質から、健康にいい善玉菌と健康に悪い影響をおよぼす悪玉菌、さらにはどちらか優位な方につく日和見菌に分けられます。

善玉菌は腸内で悪玉菌を抑える乳酸や酪酸を産生することで、健康的な腸内環境を作ります。さらには腸の蠕動を促したり、病原体の感染から守ったりするはたらきもあります。

乳製品に含まれる乳糖を分解して水素を産生するのも善玉菌の役割です。腸内で作られた水素は有害な活性酸素を無毒化するなど、全身の健康改善に役立ちます。

発酵食品であるヨーグルトには100グラムあたり10億個程度の乳酸菌が含まれています。食品として食べた場合、そのうちの多くは胃酸や胆汁酸により死んでしまいますが、生きて腸にたどり着くものも少なくありません。

腸にたどり着いた乳酸菌は善玉菌として活躍し、腸内環境の改善をサポートします。

■ヨーグルトで和食の欠点を補う

「ヨーグルトなんか食べなくても、日本人には世界に誇る健康食――和食がある」

そんな風に考える人がいるかもしれません。あながち間違いではありませんが、もっと進んだ考え方もあります。

それは「ヨーグルトを食べると、和食の健康効果がより大きくなる」ということ。和食は確かに栄養バランスに優れた食文化ですが、問題点もあります。塩分が過剰になりやすい反面、動物性たんぱく質が不足しがちなのは日本人の健康につながる課題と言えます。

ヨーグルトを食べることで、この2つの問題を解決できます。まず、ヨーグルトには100グラム当たり4.3グラムの動物性たんぱく質が含まれています。

その中には筋トレ後の栄養補給として多くのアスリートが愛用するホエイプロテインも多く含まれており、身体を作る材料を効果的にとれるのです。

ヨーグルトにはカリウムやカルシウムなどのミネラルも豊富です。これらをしっかりとれば、塩分過多により過剰になったナトリウムの排出を促進できます。多少多めに塩分をとってしまったとしても、ヨーグルトを食べることで、ミネラルのバランスを取り戻せるのです。

■乳糖不耐性の人こそヨーグルトを食べるべき

健康によいとされてきたヨーグルトですが、一部には「食べない方がいい」と語る専門家もいます。乳製品であるヨーグルトを食べることで、健康にさまざまな害がある、というのがその主張です。

たしかに、乳製品を食べると「腹痛がする」「下痢をする」「お腹が張る」といった症状を訴える人が日本人には少なくありません。その多くは乳製品に含まれる乳糖という成分を消化するための酵素――ラクターゼを十分に産生できない人たちです。この特性は「乳糖不耐性」と呼ばれます。

ただ、ヨーグルトの場合には乳汁に含まれる乳糖の多くが発酵の過程で分解されているため、生乳を飲んだときのような症状は出にくいことがわかっています。個人差はありますが、乳糖不耐性であってもヨーグルトは大丈夫、というケースはしばしば見られます。

乳糖不耐性を心配するあまり乳製品をとらないと、かえって乳糖不耐性が悪化する、という報告もあります。「使わざるは退化する」というのは人の身体に備わる特徴の一つです。

乳糖を消化する必要がなくなると、消化酵素であるラクターゼを産生する能力が低下するため、乳糖耐性が低下してしまいます。ですから、牛乳で少しお腹が痛くなるくらいなら、ヨーグルトを食べて乳糖耐性を上げていくのもありでしょう。

■まとめ

古くから健康食品とされてきた食材のほとんどにはやはり、人の身体が健康になるのを支えるはたらきが数多く秘められているものです。もちろん、どんな食材も食べ過ぎはNGですが、日本人のヨーグルト摂取量は欧米に比べるとまだまだ少ないので、積極的に食べるのがおすすめです。

なお、生菌をなるべく多く大腸まで届けるためには、食事の後にヨーグルトを食べるのがよいでしょう。食べ物で胃酸が希釈されるので、生きたまま大腸に到達する生菌を増やせます。

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