コラム

コロナ禍以前に比べ、ストレスを感じる人が大幅に増えています。募るイライラを解消できず、さらに落ち込んだり怒りをため込んだりしている人も少なくありません。

そんなイライラを軽減したくて「甘いものを食べる」という人がいます。砂糖を摂ることで、本当にイライラを解消できるのか、調べてみました。

◆イライラはなぜ起きる? 心と脳で起きていること

人がイライラを感じるポイントは主に対人関係にあります。他人が絡むものごとについて、思い通りに行かない状況が一定以上続くと怒りを感じ、解消できなければイライラとして心に残るのです。

人が怒りを感じる際には脳の中で大脳辺縁系と呼ばれる部位の活動が活発化します。この部位は本能を司る脳であり、ネズミなどの下等な哺乳類にも備わっています。

怒りはピンチに陥ったときに自身を奮い立たせて戦闘モードにしたり、報復したいという感情を引き起こしたりすることで、将来的なリスクを抑止するためのものでもあります。

ただし、人間はネズミなどと比べて、より複雑な社会を築き、共同して生活しているため、常に感情を露わにするわけにはいきません。社会が円滑に機能するためには怒りを抑えコントロールする必要があります。

この抑制役をつとめるのは大脳の前頭葉と呼ばれる部位です。人において特に発達している部位であり、理性や思考を司ることから、「人を人たらしめている脳」とも呼ばれます。

大脳辺縁系と前頭葉の葛藤はストレスを生み出し蓄積されます。そのことがさらにイライラを募らせる原因になると、悪循環に陥ってしまいます。

◆効果抜群! 立証されている砂糖のストレス解消パワー

イライラを軽減する方法はいくつかありますが、中でも大きな効果があると言われているのが「甘いものを食べること」です。実際、経験的にその効果を知っている人は多く、「イライラすると甘いものが食べたくなる」のは周知の事実です。

では、なぜスイーツにはイライラを抑える作用があるのでしょう? その答えと言えるのが砂糖のはたらきです。

Idea Creating Lab 国際総合研究機構が主導した実験では、性格検査や安全によりストレスを与えた学生に砂糖やサッカリン、デンプンなどを摂取させたところ、砂糖を摂った群のみ、強い抗ストレス効果が見られたと言います。

同じく、アメリカのオハイオ州立大学では、被験者に勝ち負けのあるゲームをさせ、勝った側は負けた側に「嫌な音」を聴かせる、という実験が行われました。

被験者を2つのグループに分け、片方には砂糖入りのレモネード、もう一方には吸収されにくい糖を使った甘味料入りのレモネードを飲ませたところ、砂糖入りを飲んだグループではゲームの勝者が敗者に聴かせる「音」のボリュームを絞る、という結果が見られました。

敗者に対する罰を軽減する寛容さを示したのです。このことは砂糖入りのレモネードを飲むことで、被験者のストレスが軽減されたことを意味します。

◆砂糖は麻薬? 依存性と生活習慣病の問題

砂糖に強い抗ストレス効果があり、イライラを抑えるのに有効なのは効率よく吸収され、短時間で脳に大量のブドウ糖を供給できるためです。

脳がストレスを処理するのには多大なエネルギーが必要です。ブドウ糖によりエネルギーが十分供給されれば、脳はドパミンやセロトニンといった神経伝達物質を十分に産生して、ストレスに対処できます。

ただし、そういった砂糖のはたらきは諸刃の剣でもあります。ドパミンは人にとって幸福感もたらす神経伝達物質であり、ドパミンが大量に産生される行為をくり返す性質が人にはあります。

行動嗜癖と呼ばれる性質であり、薬物中毒やギャンブル中毒などあらゆる中毒はこの仕組みによって発症します。砂糖にも同じリスクがあり、依存性があるので、マイルドドラッグとも呼ばれます。

砂糖を摂りすぎると、肥満や糖尿病のリスクが高まります。また、砂糖によりエネルギーを産生する際にはビタミンB1を消費します。そのため、砂糖を大量に摂取すると、ビタミンB1が欠乏することがあります。

エネルギー産生に必要な栄養素が欠乏すると、脳がエネルギー不足に陥ってしまい、一気にうつ症状が出る危険性が高まります。

◆依存性に注意してカロリーとビタミンB群を確認

このように、砂糖はイライラしがちな人にとって心強い味方ですが、一方では摂りすぎると病気――特に未病につながる食材でもあります。

イライラするたびに砂糖に頼っていたら、依存症になりかねません。依存症になれば、摂取量のコントロールが効きにくくなるので、肥満や糖尿病へと一直線です。

そうならないためには、まず、依存性のある食材だという認識が大切です。カロリーコントロールを意識して、砂糖を摂りすぎないよう日頃から注意すると同時に、ビタミンB群が不足しないよう、意識的にとることが大切です。

豚肉や赤身肉、ナッツや大豆などに多く含まれているので、イライラを感じがちな人は、食材として積極的に食べるようおすすめします。

◆まとめ

子供のころ、「甘いものを食べ過ぎちゃダメ」と言われた人は多いはず。砂糖の依存性や弊害は古くから知られており、「大量摂取」が健康に悪いとわかっていたのでしょう。

その一方で、大人になる「イライラしたら甘味」とも言います。どちらが正しいというわけではなく、効果と弊害の両方を知っておき、バランスをとりながら利用するのが、大人の賢い付き合い方だといえそうです。

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