医療資源がひっ迫する中、家族の命を守るためには「自分たちの健康はなるべく自分たちで守る」という意識が欠かせません。特に食生活についてはそんな意識を反映しやすいので、なにを食べるべきか、しっかり理解しておきたいところです。

■コロナ禍で増える手作りと中食

コロナ禍で外食の機会が減少しています。たいていの人はそれでも1日に3食とるので、その分増えているのが手作りやコンビニ弁当、デリバリーなどの中食です。

年齢により、冷凍食品の利用が多いのは60代、デリバリーの利用が多いのは20代というように、利用の傾向には違いがあります。

いずれにしろ、気になるのは健康への影響です。食べ物は身体をつくり、心身の状態を整える基礎となるものなので、食べ方が普段と変わることで、健康に影響することが考えられます。

マーケティング調査やコンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズが行ったアンケート調査によると、手作りする人が多く作るようになった料理として、うどんやそば、パスタなどの麺類が挙げられています。

いずれも糖質が多い料理であり、食べる機会が増えると、近年、多くの疾病につながると指摘されている「糖化」のリスクが高まる心配があります。

■予防したい脳卒中や心疾患

新型コロナウイルス感染症は基礎疾患により重症化したり死亡したりするリスクが大きく異なります。また、医療資源が足りなくなっている中、救急治療が必要な病気を発症すると、これまでなら助かっていたケースでも命を落としかねません。

健康を維持する上でまず意識したいのが生活習慣病の予防です。糖尿病や高血圧症、肥満などは生活の仕方を意識することで、予防することが可能です。

ただ、感染予防のため、不要不急の外出を自粛するよう求められたことから、運動不足に陥る人やストレスから過食に走る人も増えています。

そういった生活の変化は生活習慣病のリスク増大につながり、悪化すれば脳卒中や虚血性心不全など、命に関わる病気につながることもあります。

■油を変えるとリスクを大幅に減らせる

健康のために意識すべき食の要素は多々ありますが、中でも生活習慣病のリスクに大きく影響するのが油です。油――脂質はたんぱく質、炭水化物とともに三大栄養素を構成する大切な栄養素です。

また、揚げ物やいわゆる「脂がのった○○」といった美味しいとされる食べ物にはたくさん含まれていることから、ついつい大量にとってしまいがち。少量でもカロリーが高いので、体型や健康が気になる人にとってはあまりよろしくない栄養素ですが、控えるのは容易ではありません。

ただ、脂質にはいくつかの種類があり、どれを多くとるかによって、心疾患などへの影響が大きく異なることがわかってきました。悪玉――健康に悪いとされる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸などを多く摂ると、死亡率が高くなります。

その一方、善玉――健康にいいとされる不飽和脂肪酸を多く摂ることで、死亡率は低下します。つまり、悪玉を善玉に置き換えれば、二重の効果で健康状態を改善できるのです。

ちなみに、よく摂取する飽和脂肪酸には肉や乳製品等に含まれる脂肪やココナッツ油などがあります。また、トランス脂肪酸はマーガリンやパン、菓子類、揚げ物などに使用されます。

不飽和脂肪酸を多く含むのはオリーブオイルやごま油、青魚の脂などです。つまり、飽和脂肪酸をオリーブオイルやごま油などに置き換えることで、健康上のリスクを大幅に低減できるのです。

■食物繊維をしっかり摂って腸内で水素を産生する

食生活の工夫でもう一つ推奨したいのが食物繊維の積極的な摂取です。食物繊維には便通の改善や血中コレステロール濃度の低減、血糖値の急上昇抑制などの効果があることはよく知られています。

それだけではなく、食物繊維には腸内で発酵することにより水素を産生するはたらきがあることも、最近ではわかってきました。産生された水素は体内で細胞の酸化を防ぐのに使われます。

食物繊維から作られた水素が毒性の強い活性酸素を無毒化し、さまざまな病気や老化を抑制してくれるのです。

■日本食の見直しで健康リスクを抑える

油の置き換えや食物繊維の積極的な摂取といった、健康的な食を実現する上で効果的なのが日本食の見直しです。東北大学大学院公衆衛生学の松山紗奈江氏らが行った研究によると、日本食に特徴的な食材を多く食べる人は死亡率が低いことがわかっています。

この研究では国立がん研究センターなどが行っている多目的コホート調査を基に、米、味噌汁、海藻、漬物、緑黄色野菜、魚介類、緑茶といった代表的な日本食の食材を摂る量と死亡率との関係を調査。

その結果、多くとる人のグループはそうでない人たちに比べて、14%も死亡率が低いことがわかりました。油に注目してみても、もともと日本食には肉や乳製品の脂肪があまり含まれていません。使う油は紅花油やごま油などが多く、脂ののった魚を好んで食べます。

日本食を食べる機会を増やすことで、自然に油の置き換えができるのです。

食物繊維についても同じことが言えます。日本食では食物繊維を多く含む根菜類や豆類、きのこ類、海藻類などを多く使います。

このように、食事のメニューにおいて、日本食の割合を増やすことで、自然と健康によい食材を多く食べられるようになるのです。

■まとめ

コロナにより働き方など、生活を構成するさまざまな面が変わってしまいました。食生活もその一つですが、食べるものは意識することで、より健康の維持につながるよう選ぶことができます。

身体にいい油や食物繊維をたくさんとれる日本食をもっと見直すべきかもしれません。

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