COVID-19の影響を受け、その他の疾患のリスクも増大しています。高齢者に多い誤嚥性肺炎もそんなリスクの一つです。

近年は死因順位の上位に毎年ランクインしているのに加え、高齢者のQOLにも大きく関わる疾患なので、コロナ禍におけるリスクと対策を確認しておきたいところです。

■死因順位上位 高齢化で増加する誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎はその名の通り、なにかを誤って飲み込むことで発症する肺炎です。通常、食べ物や飲み物は口から喉を通り、食道、さらには胃へと送られます。

喉の奥には肺に入れるべき吸気と食べ物や飲み物を仕分けする仕組みが備わっています。自動的にはたらくため、普段この仕組みを意識する機会はほとんどありません。

ところが、加齢や脳の障害などにより、この「仕分けシステム」のはたらきが低下すると、本来は食道へと送られるはずの食べ物や飲み物などが気管を通って肺へと送られてしまうケースが増えます。

そうなると、肺では雑菌による感染や免疫反応により炎症が起きます。これが誤嚥性肺炎です。

高齢化が進む中、近年は死因に占める割合が高まっており、2020年には国内で4.3万人が誤嚥性肺炎により死亡しています。死因の中でも6番目に多いとされていますが、単なる「肺炎」とされているものの7割程度も誤嚥によるもの、と言われているので、実際には10万人以上が誤嚥により亡くなっている、とする声もあります。

■加齢が大きな要因に 認知症やサルコペニアで悪循環

誤嚥性肺炎は健康な人や若年層ではほとんど見られません。前述の通り、「仕分けシステム」が正常に機能するためです。また、万が一、飲食物が気管に入っても、すぐに咳き込んで排出できるので、ほとんどの場合、肺まで到達しません。

したがって、誤嚥性肺炎を発症するのは高齢者や認知症の患者、サルコペニア等の筋力や体力が低下した人が大半です。

誤嚥性肺炎の症状は発熱や咳、痰など一般的な肺炎とほぼ同じです。ただ、高齢者の場合には、免疫反応が低下していることで、こういった症状が見られないケースもあります。

周囲が気づかないうちに悪化し、最悪の場合には死にいたります。治療が功を奏して、回復することも少なくありませんが、高齢者が入院加療を受けると、その間に体力や認知能力が失われがちです。

特に現在はコロナ禍で医療資源がひっ迫しているため、以前と同等の治療をすぐに受けられるとは限りません。リハビリテーションも受けにくくなっているため、誤嚥性肺炎により認知症やサルコペニアが進み、さらに誤嚥性肺炎をくり返す、といった悪循環に陥るリスクも高まっています。

■清潔と嚥下機能の維持がいちばんの対策

誤嚥性肺炎を予防するためには清潔と嚥下機能の維持が重要です。高齢者の場合、唾液の誤嚥で肺炎を発症することもあります。口腔内の清潔を保ち、雑菌の繁殖を抑えていれば、唾液による肺炎の発症を抑えられます。

唾液や飲食物等が気管に入り、肺にいたるのは前述の通り「仕分けシステム」が正常にはたらかないためです。「仕分けシステム」は神経系や筋肉などが適切に連携して作用するので、関係する機能を鍛えたり調節したりすることで、誤嚥を予防できます。

動画サイトなどを探すと、いくつも見つかるので、食事の前などに取り組むのがおすすめです。特に、普段からむせることが多い人は誤嚥性肺炎の予備軍なので、発症する前に始めれば、大きな効果が期待できます。

※かながわ健口体操

■まとめ

コロナ禍の中、以前であれば重篤化しなかった病気で大きな障害を負ったり、命を落としたりする人が増えています。誤嚥性肺炎はそんなリスクをもたらす疾患ですが、予防を意識すれば、発症する危険性を大きく抑えられます。

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