コラム

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防接種が世界中で進められる中、副作用としてしばしば注目されているのが血栓です。そもそも、血栓はなぜできるのでしょう? 効果的な予防法はあるのでしょうか?

■ワクチン接種のリスクとして注目される血栓

現在、ワクチン接種を受けた人が多い国では、副作用による血栓症の発症が報告されています。報告例が多いのはアストラゼネカ社製およびジョンソン&ジョンソン社製のワクチンで、いずれもウイルスベクター型という共通点があります。

人にとって無害なウイルスに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の遺伝子を組み入れるタイプのウイルスですが、このタイプのワクチンに血栓症が多い原因はまだ定かではありません。

ただ、ドイツでは、血小板の減少など、いくつかの特徴が自己免疫性の血栓症と似ている、とも報告されています。ワクチンがなんらかの免疫異常を引き起こしている、とする説が現在は有力です。

ワクチンを接種した人では非常にまれですが、新型コロナウイルス感染症の患者においては同様の血栓症が多数報告されています。重症の患者には抗凝固剤が効かないことがわかっており、COVID-19に関連する血栓症は治療が難しい症状と言えます。

■止血のための仕組みで命を失うことも

血栓はその名の通り、血液が固まって血管を栓のようにふさぐものです。なんらかの原因で血管が破れた場合、そのままでは出血により大きなトラブルが起きてしまうので、血液にはもともと、特定の条件がそろうと固まる性質があります。

本来は身体を守るために発生するそんな血栓が、不要な状況で発生するのが血栓症です。

血栓にはできる原因によりいくつか種類があります。たとえば、生活習慣病などによる動脈硬化が原因で発生しやすいのは白色血栓です。

白色血栓は血流の早い動脈でできるのが特徴で、脳梗塞や心筋梗塞の原因になることが知られています。

一方、血流が遅い静脈にできるのが赤色血栓です。こちらはエコノミークラス症候群とも呼ばれる肺塞栓等を引き起こすことがあります。

■血栓ができる主なメカニズム

血栓の発生につながる要素は主に3つあります。血管内皮細胞の傷害、血液の性状変化、血流の停滞です。

動脈硬化が有名ですが、血管が劣化して硬くなると、血管の内側にあって血液と接している内皮細胞がはがれやすくなります。傷ついた血管内皮の内側に免疫細胞であるマクロファージが入り込んで、粥腫と呼ばれるコブを形成します。

この粥腫が破れると、血栓ができてしまい、重要な動脈をふさいでしまうことがあるのです。

2番目に挙げた血液の粘度は「サラサラ血」などというフレーズでしばしば紹介されており、誤解されやすい要素です。ドロドロやサラサラと言われると、粘度だけの問題だと思われますが、血小板などの凝固系因子やフィブリンが血栓を作ろうとするのを溶解するはたらきなども大きく影響します。

血液中の水分が足りない時はもちろん、体内に炎症が起きている時や妊娠中、ピルなどのホルモン剤を服用している時などは血液が凝固しやすい状態になります。

3番目に挙げた血流が問題になるのは、主に下肢の静脈です。心臓から遠い下肢の静脈血は主にポンプの役割をするふくらはぎの筋肉によって血流を維持しています。

したがって、下半身を動かさない状態が長く続くと、血流が滞ってしまい、血栓ができやすくなるのです。「サラサラ血」にメリットがあるとしたら、血流が滞りにくくなる、という点が大きいと言えます。

■血栓を避けるためにできること

原因がわかれば、対策を立てることは難しくありません。血栓についても上記の原因を避けることで、発生するリスクを引き下げられます。

バランスのとれた食事を適量とるよう心がけることで、糖尿病や高血圧、高脂血症など、血管にダメージを与える生活習慣病を回避できます。

原子状水素の摂取も有効です。血管内皮細胞の状態を改善することがわかっているので、積極的に摂取することで、血栓のリスクを引き下げられる、と考えられます。原子状水素には炎症を軽減する効果もあるので、血液の凝固因子を抑えることもできます。

血流については運動が有効です。毎日のウォーキングなどの有酸素運動と筋トレなどの無酸素運動を適切に組み合わせることで、血流を維持しやすくなります。

■まとめ

ワクチン接種による血栓を予防するのは現状では困難です。ただ、その割合は非常に低いので、血栓のリスクを理由に接種を見送るのは賢明ではない、というのが一般的な判断です。

ワクチン以外が原因で起きるものについては、この記事で紹介した対策でリスクを減らせるので、コロナ禍で医療資源がひっ迫する中、生活習慣を見直してみた方がよさそうです。

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