COVID-19より危険? コロナ禍で増えるフレイルの傾向と対策

Medical Life Science Laboratory

長引くコロナ禍は高齢者の生活にもさまざまな影響を与えています。その一つがフレイル。要介護につながると言われており、外出等がままならない中、急増しているのではないか、と心配する声が高まっています。

■長引くコロナ禍でフレイルになる高齢者が急増

COVID-19は社会や暮らしのさまざまなシーンに影響をおよぼしていますが、その一つとして問題視されているものにフレイルの増加があります。

フレイルは「加齢に伴って筋力や心身の活力が低下した病態」のことです。似た言葉にサルコペニアというのがありますが、こちらは主に筋力の低下を指す言葉です。「サルコペニアなどが起きることでフレイルを発症する」ケースが多い、と考えられます。

フレイルは一般に要介護の一歩手前の状態と言えます。筋力や活力の低下を放置すると、生活に必要な活動を自力でこなせなくなってしまい、要介護へと陥ってしまうのです。

高齢者の多くがCOVID-19予防のため、外出を控える暮らしを続けていることもあり、最近では介護の現場などでフレイルの急増が心配されています。

■高齢者の8.7%がフレイル なりやすい人や地域には特性が

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが9月に発表した研究報告によると、65歳以上の高齢者のうち、フレイルになっている人の割合は8.7%だったと言います。

この研究では居住している地域や性別、経済状態などとの関係についても調査が行われました。その結果、国内ではおおむね東日本よりも西日本、性別では女性、社会経済状態が低いレベルにある人ほどフレイルになる割合が高いことがわかっています。

フレイルになりやすい人の特徴として持病との関係を指摘する専門家もいます。糖尿病、骨粗鬆症、認知症、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの持病がある人は筋力の低下や心身の活動の低下を引き起こしやすいのです。

■フレイルかもしれないと思ったらまずは自己診断を

フレイルは多くの場合、ゆっくり進行するので、本人や周囲の人が気づかないことがあります。80歳以上になると3人に1人以上がフレイルだと言われるので、予防を考える上では、一定以上の年齢になったら、自身でチェックをすることが大切です。

チェック方法はいくつかありますが、簡単な方法として知られているのが、両手の親指どうしの先と人差し指どうしの先を付けて作った輪で、ふくらはぎの太い部分をはさんでみる、というやり方。

輪っかよりもふくらはぎの方が細い場合は、筋肉が落ちている可能性があるので、フレイルかもしれません。さらには、次の5つの兆候についても、あらためて最近の様子を振り返ってみてください。

  • 食欲がなくなり、体重が減ってきた。
  • 疲労感がなかなかとれない。
  • 青信号の間に交差点を渡りきれないなど、歩く速度が遅くなった。
  • 瓶のキャップが開けにくいなど、力が衰えてきた。
  • 出かけることがおっくうになった。

当てはまる項目が3つ以上あったら、いちどかかりつけの医師に相談してみた方がよいでしょう。

■フレイルを予防するカギは「運」「食」「会」

幸いなことに、フレイルは意識を少し変えて、暮らし方を工夫するだけで予防することができます。カギになるのは「運動」と「食事」それに「人に会うこと」です。

筋力を維持するためには、意識的に動く必要があります。ウォーキングなどの有酸素運動にスクワットなどの無酸素運動を組み合わせることで、筋肉が落ちるのを予防できます。

運動については筋肉が落ちる前にいわゆる貯筋をしておくことが大切です。筆者が最近取材した理学療法士は「世の中にリハビリが不要な人はいない」と語っていました。健康な人も自発的にリハビリテーションを行うことで、心身を良好な状態に維持できるのです。

食事については栄養バランスのとれたものを必要な分量しっかり食べる必要があります。毎日、体重を量るなどの工夫で、食事が足りているかどうか、判断できます。

精神的な健康を維持するためには、人と会う機会を意識的に作ることも大切です。コロナ禍で外出したり、人と会食したりするのは容易ではありませんが、インターネットを使うなど、やり方を工夫して、人と会話する機会をなるべく作ることで、うつや認知症を予防できます。

■まとめ

高齢者の筋力や心身の活力は小さなきっかけで失われてしまいます。まだまだウイズコロナの暮らしに終わりが見えない中、COVID-19がそのきっかけにならないよう、注意することが大切です。

 

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