コラム

コロナ禍の中、自覚症状がほとんどない未病が死に直結するケースが増えています。特に危険な未病とされるのが慢性閉塞性肺疾患(COPD)。未診断・未治療の人が9割以上とも言われており、たばこを吸う人やかつて吸っていた人は注意が必要です。

■COVID-19致死率が14倍に その咳や痰は命取りかも

COPDはその名の通り慢性化した肺の病気であり、通常は発症したからといって、すぐに命に関わるケースはまれです。そのため、これまでは検査や治療に対する意識がどちらかと言えば鈍く、咳や痰といった症状があっても、気にしない喫煙者は少なくありません。

コロナ禍の中、そんな事情が急変しつつあります。厚生労働省が収集したデータによると、COPDを保有する人がCOVID-19に感染した場合の致死率は10.2%にのぼっています。COPDの患者がCOVID-19に感染した場合、10人に1人が死亡するのです。

COPDを保有しない人の致死率は0.73%なので、14倍も高いことになります。

■その息切れはもしかして? 隠れも多くジワジワ進行

長年たばこを吸い続けてきた人の中には、日常的に咳や痰が多く出る、という人が少なくありません。ずっとそんな症状と付き合っていると、「煙を吸っているのだから当たり前」と思えるため、あらためて医療機関を受診する気にはなかなかならないものです。

ところが、そんな「とりたてて心配な症状が見られない喫煙者」の中にもかなり高い割合で、COPD患者が潜んでいます。国内の患者数は530万人と推計されており、うち9割以上は医療機関で診断を受けたり、治療を受けたりしていない「隠れCOPD」です。

もちろん、「隠れ」であっても、COVID-19になった時のリスクは格段に高い、と考える必要があります。

COPDは残念ながら、自然には改善されません。放置するとジワジワと悪化しますし、その間にインフルエンザや細菌性の肺炎、誤嚥性肺炎などを発症すると、一気に増悪することもあります。

1日1箱の喫煙を20年続けると、20%の人がCOPDになると言われます。喫煙歴が長い人に息切れがある場合には、COPDの発症が疑われます。

■気管支や肺胞にダメージ 呼吸がしにくくなる

国内において、COPDを発症する原因のほとんどは喫煙です。たばこの煙によりダメージを受けた気管支や肺胞の細胞内で活性酸素が発生し、細胞を壊します。それに伴ってタンパク分解酵素の分泌が盛んになり、気管支や肺胞のダメージが深刻化します。

その結果、肺胞につながる気管支が狭くなったり、肺胞が壊れたりするのがCOPDです。呼吸機能を支える気管支や肺胞の機能が落ちると、体内に酸素を取り入れる能力がどんどん低下していきます。

人の細胞はすべて、酸素をもとにエネルギーのもととなるATPを生成し、活動しています。酸素が足りなくなれば、細胞はエネルギー不足に陥ってしまうので、体内のあちこちで不具合が発生します。

日常生活に酸素ボンベが必要になり、さらに悪化すると、ボンベを使用してもすぐに息が切れるようになってしまいます。

■悪化予防の基本は禁煙と水素

先ほど「COPDは自然に治癒しない」と書きましたが、医学的な手段を用いても狭窄した気管支をもとの状態に戻したり壊れた肺胞を再生したりすることはできません。COPDだと診断されたら、それ以上悪くならないよう予防するのがもっとも適切な対応です。

悪化予防の基本は禁煙です。その上で、食事や睡眠、運動といった健康の基本を整えれば、COPDの進行を遅らせることができます。

水素吸入もCOPDには有効とされています。水素には炎症を抑える作用があるので、悪化の予防効果が期待できるのです。大気汚染により多くの人がCOPDを発症している中国では、症状の改善に水素吸入が有効とする研究結果も発表されています。

■まとめ

未病の中でもCOPDは治癒が難しい病気です。たばこが主な原因なので、禁煙が必須ですが、長年吸い続けてきた人がやめるのは簡単ではありません。

ただ、コロナ禍のせいでただちに命に関わる病気になっている今、息切れがある喫煙者はまず、病院を受診することをお勧めします。

もし、COPDと診断されたら、「コロナ感染したら死にいたる確率が1/10もある」と認識することで、COPDの悪化を予防する強いモチベーションを得られるはずです。

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