withコロナはワクチンで終わる? 最新研究に見る希望と悲観

Medical Life Science Laboratory

まだまだ「自粛」が求められる中、通常の暮らしに戻れる目処と考えられているのがワクチンの開発・普及です。すでに世界中で100以上もの研究が進められている中、希望的な研究成果が発表される一方、悲観的な研究発表もあり、まだまだ先が見えません。

■withコロナでジワジワ増える感染者

緊急事態宣言が解除されて以降、新型コロナウイルスの新規感染者数がジワジワと増えています。東京都では1日あたりの新規感染者数が7月2日から6日までの感染者数が100人を超える状況です。

世界的に見ると、国内の感染者数はまだまだ驚異的に少ないのですが、その理由がわかっていないだけに、「自粛」を緩めると、大規模な感染爆発が起きるのではないか、という懸念には強いものがあります。

そのため、緊急事態宣言が解除された後も、一定の「自粛」を求める世論の圧力は強く、経済性を犠牲にしつつ暮らす「withコロナ」が求められています。

■コロナ対策の切り札はワクチン開発

そんな新型コロナウイルス感染症対策として、もっとも有望視されているのがワクチンの開発です。インフルエンザなどと同じく、感染や重症化を防げるワクチンが開発され、普及すれば、多くの人がウイルスを恐れることなくもとの暮らしに戻れるはずです。

全世界的なニーズを受けて、各国の研究機関がこぞって開発を進めており、世界保健機関(WHO)が7月2日に発表した資料によると、すでに臨床試験中のワクチンが18種類ある他、臨床試験前の候補も129種類あるとされています。

もちろん、国内でも複数の研究が進められており、中でも先頭を走っているのが大阪の製薬企業アンジェスです。大阪市立大学ですでに治験が始まっており、成果が期待されています。

■効果のあるワクチンを開発できるのか?

ただし、ワクチンは開発に取り組んだからといって必ず、一定以上の効果があり、しかも安全性が高いものが作れるとは限りません。たとえば、はしかのワクチンは効果が高く、接種することで95%の人は免疫を獲得できます。

一方、インフルエンザワクチンの効果は限定的であり、発症率を半分程度に抑えられる、というのが一般的な考え方です。すなわち、接種した人が発症するリスクは接種していない人に比べて、半分程度に低下するのであって、ゼロになるわけではありません。

重症化した場合のリスクが高い新型コロナウイルスについては、どの程度の予防効果があれば社会生活をもとの状態に戻せるのか、判断が分かれるところでしょう。単に「ワクチンができた」というだけで、現下の問題は解決しないのです。

ワクチンの開発が難航するケースも考えられます。マラリアやHIVを予防するワクチンは長年研究が進められていますが、いまだに有効なものは登場していません。新型コロナウイルスは未知のウイルスだけに、そうなる可能性は否定できません。

■希望的 悲観的な研究結果が

ワクチンの可能性についてはさまざまな研究発表がなされていますが、希望的観測につながりそうなものにアメリカで行われた研究があります。

5月に著名な医学誌「THE CELL」に発表された論文によると、軽症の患者20人を対象とする検査では、すべての患者に強力な免疫応答が確認されたということです。

すなわち、新型コロナウイルスに感染した人のうち、軽症で回復した人は免疫力を身につけることができていたのです。適切なワクチンを開発することで、身体のこの仕組みを活性化できれば、感染や重症化を防ぐことができる、と言えそうです。

ところが、その一方、ワクチン開発に悲観的な影響をおよぼしそうな研究結果も発表されています。中国重慶医科大学で行われた研究では、症状がない患者や軽症の患者の場合、抗体の値がすぐに低下していたのです。

ウイルスに触れて感染してから3~4週間で、体内のウイルス量は最大になります。この時点では約8割の人たちがIgG抗体を保有していましたが、患者が病院を退院してから8週後に検査を行うと、抗体の値は大幅に下がっていたのです。

もちろん、一つの研究で決めつけることはできませんが、この研究結果からは「いったん免疫を獲得しても短期間で効力を失う可能性」が見えてきます。

ワクチンの開発まで、まだまだ時間がかかると思われますが、たとえ開発されたからといって、100%の安心を得られるものではない、と考えておくべきでしょう。その上で、一人一人が自分の免疫をよい状態に保つことで、これから長く続く「withコロナ」の世界を生きるしかありません。

 

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