基礎研究 ①
水素を含む蒸気混合気体の吸入前後の血液中・唾液中バイオマーカーの動体解析
血管力増強の傾向が示される
- 可溶性CD106(sCD106)産⽣が認められた
- 硝酸イオン(NO3–)産⽣が認められた
- アンギオテンシンⅠ転換酵素(ACE)の活性抑制が認められた
- 可溶性Tie2(sTie2)産⽣抑制が認められた

ディスカッション:
Tie2とは、⾎管内⽪細胞に発現する受容体(タンパク質)で、⾎管外側の壁細胞から分泌されるアンギオポエチン-1がTie2と結合すると内⽪細胞と壁細胞の接着が誘導され、⾎管⾃体が安定化します。細胞から発現する”Tie2″は細胞を離れ、やがて血液中に排出され、血液中に漂う”Tie2″は可溶性であるため、”sTie2″(可溶性Tie)となります。しかし、sTie2が増えすぎると、Tie2とアンギオポエチン-1の結合を妨げてしまうため、血管のしなやかさを安定させる作用を妨害してしまいます。
水素を含む蒸気混合ガスの吸入後、被験者の⾎中のsTie2が抑制されている(図1)。より多くのアンギオポエチン-1がTie2と結合するため、⾎管の安定を誘導する。
炎症を抑える傾向が示される
- 炎症関連物質(sCD62E・sCD62L)産⽣の抑制
- 炎症関連物質(sCD44・sCD54)産生の抑制

ディスカッション:
炎症関連物質は血管内皮細胞の炎症によって血液中に放出されるもので炎症性病態の疾患活動性の程度、がん細胞の増殖の強さなどを推察するものです。
糖尿病・関節リウマチ・がんなどの炎症を伴う疾患では、血液中のsCD62E・sCD62LやsCD44・sCD54が増加します。
炎症を抑制する傾向が示された。
- IL-1βの産⽣増強
- 真菌(カビ)やインフルエンザウイルス抗原に特異的に反応する免疫抗体IgA-2の産生増強

ディスカッション:
Interleukin(IL-1β)は、炎症と深く関わっており、炎症をコントロールする役割を持っています。また、自然免疫と獲得免疫に関与しています。
免疫抗体IgA-2は、主に粘膜に多く分泌しており、外から体内に入ってくる菌やウイルスなのど物質が細胞に感染しないように防御する役割を持っています。
その結果、これらの物質が正しく分泌することにより、免疫力を増強することができます。
この基礎研究のまとめ:
血管力、炎症の抑制、免疫力の増強は「自然治癒力」を高める。
- スイソニアが生成する気体は自然治癒力に働きかけ、未病や病気の予防に役立つ可能性が考えられています。
基礎研究に関する論文
これまでご紹介しましたスイソニアを用いた基礎研究の一部が、論文として発表されています。
九州保健福祉大学研紀要
発行:2017年3月25日第8号 P.67 ~ 72
・水素ガスを含む蒸気混合気体吸入後の唾液バイオマーカーの解析
発行:2019年3月25日第20号 P.69~74
・水素ガスを含む蒸気混合気体吸入後のインフルエンザウイルス由来のHemagglutinin (HA) 抗原に対する唾液中IgA抗体の増強
基礎研究 ②
抗酸化作用・抗糖化作用
抗酸化作用に対するスイソニア蒸気の研究
抗がん剤の服用、高血糖などが原因で体内の活性酸素が発生することが報告されています。本研究所で活性酸素に対するsuisoniaの抗酸化作用について研究しました。
ディスカッション:
抗がん剤パクリタキセル(Paclitaxel)で発生した活性酸素はスイソニア蒸気によって除去されていることが観察されました。
抗がん剤のみを添加したケース

こちらは、子宮頚がん細胞に抗がん剤(Paclitaxel)を添加し、栄光分子イメージング法で解析した時の映像です。抗がん剤を添加してからのスタート時(00:00)、15分後(00:15)、30分後(00:30)それぞれの映像です。
栄光分子イメージング法により、活性酸素の発生量を色別に測定することができます。特に30分後の映像には「赤く映った部分」があり、、強い活性酸素が発生している様子が分かります。
Paclitaxelなどの抗がん剤によって、活性酸素が発生することが分かります。
抗がん剤とスイソニア蒸気を添加したケース

こちらも同じように子宮頚がん細胞を栄光分子イメージング法で解析した映像ですが、このサンプルではPaclitaxelに加え、培養液にスイソニア蒸気をバブリングさせいる映像です。
解析したところ、30分後の映像も、色合いに大きな変化が見られない様子が分かります。活性酸素が還元されていることが、特に15分と30分の間で細胞全体の色合いが、より青くなっている様子から確認できます。
※この研究結果は、九州保健福祉大学 免疫学研究所の協力で得られた結果です。【特許出願中】
抗糖化作用に対するスイソニア蒸気の研究
糖化は「カラダのコゲ」と呼ばれ、食事などから摂取した余分な糖分が、体内のタンパク質や脂質と結びついて、老化促進物質である「糖化最終生成物(Advanced Glycation End-Product 通称: AGEs)」を作り出します。
血管内皮細胞に糖質「ブドウ糖(Glucose)」を添加すると、活性酸素を発生させます。
ブドウ糖のみを添加したケース

この画像は活性酸素が発生している様子を表しています。血管内皮細胞にブドウ糖のみを添加して、高血糖状態と同じ状態にしています。
00:15分の時点で活性酸素(赤い部分)が急激に発生している様子が確認できます。00:30分時点で、活性酸素が緩和されている。
ブドウ糖とスイソニアを添加したケース

こちらはブドウ糖に加え、培養液をスイソニア蒸気でバブリングしたのち、血管内皮細胞に添加した画像です。
ブドウ糖のみ場合と違い、15分の時点で活性酸素が急激な上昇が見られず、活性酸素が抑えられている様子が分かります。
ディスカッション:
ブドウ糖のように、高血糖だけでなく、活性酸素を急激に引き起こすものでも、スイソニア蒸気が活性酸素が抑えた様子が分かります。
スイソニア蒸気が糖化を防ぐ可能性について期待され、スイソニアを利用して慢性腎臓疾患や糖尿病患者を対象とした臨床試験が行われました。
※この研究結果は、九州保健福祉大学 免疫学研究所の協力で得られた結果です。【特許出願中】

スイソニア – FRJ-III型
本研究所における基礎研究では、Suisonia株式会社が製造・開発・販売する「スイソニア FRJ-III型」が使用されました。FRJ-III型は日本国内で加熱式ネブライザーとして登録されていますが、この製品の技術の構造上、水素も同時に生成し検知されているため、副次的効果に対する研究が高まっています。